【マンドリン】ピックがずれる…半年悩んでたどり着いた対処法。

【マンドリン】ピックがずれる…半年悩んでたどり着いた対処法。

こんにちは、坂口です。

タイトルの通りピックずれに関する記事なんですが、
僕自身マンドリンを始めて半年くらいしたときに
「ピックがずれて演奏できない!」という悩みにぶち当たったんですよね。

毎晩3時間くらいピックずれと格闘すること更に半年後、
ようやくピックずれが発生する理屈とその対処法について理解することができました。

今ではピックずれに対して全く問題なく演奏できているので、今回の記事では

  • ピックがずれて困っている
  • ピックが滑ってしまい上手く演奏ができない

という方に向けて、ピックずれの対処法をお伝えしていきます。

今回は割と面倒くさいというか細かい内容になっていますが、最後まで読めば恐らくピックずれの恐怖に怯えず楽しく演奏できるようになると思うので、ぜひ最後まで読んでみてください。

それではいきます~

ピックずれについて

ピックずれは避けられない

最初に言うのも酷ですが、
そもそもピックずれは基本的に誰にでも起こります。避けられません。
非常に残念ですね。

じゃあ上手い人やプロはどうしてるのか?と疑問に思うと思いますが、
「演奏中、常に指先で微調整してピックのずれを直している」というのが正解です。

「ピックがずれたらどうしよう…」「絶対にピックが滑らないようにしなければ…」

とか考えるんじゃなくて、

「そもそもピックはずれるもの」「微調整しながら弾けばいい」

といったように考えて演奏するのがベストです。

「いや、そんな高等テクニックできるの?」と思う人もいるかもしれませんが、できます。

後で説明するので、まずはピックずれの原因から考えてみましょう。

ピックがずれる原因

ピックがずれる原因としては、

①ピックの支え方を理解していない
②手汗で滑ってしまう

大まかに分けてこの二つに分けられると思います。

特に個人的には、どんなピックを使おうが、どんなに手汗が出ようが、

①ピックの支え方を理解していない

ことが一番大きなピックずれの原因になっていると思います。

言い換えると、ピックの支え方を理解して
その理屈をご自身のピックの持ち方に落とし込みさえすれば、
ピックずれなんて全く怖くなくなります。
加えて、さっき言ったような
「演奏中にピックずれを微調整する」とかいうテクいことも出来るようになります。

では、上記二つの原因について、まずは
ピックの支え方
という点について詳しく解説していきます。

ピックの支え方

ピックを支えるとは?

まず、ピックを支えるってどういうことだと思いますか?

僕は個人的に、「ピックを支える」ということは
「ピックに対して弦によってかけられる圧力を、指先を使って支える」
ことだと思っています。

「ピックを支える」=「ピックに対して弦によってかけられる圧力を、指先を使って支える」
であることを念頭に置いて、ピックずれが起こるメカニズムを詳しく説明するとこんな感じになります。

ピックずれが起こるメカニズム
①ピックに対して弦によってかけられる圧力を、指先を使って支えられていない
②支えられなかった圧力がピック上を逃げていき、結果としてピックがずれていく

という感じですね。

正直、文章で説明し続けただけでは「??」といった感じですよね。

次に実際に楽器を使ってピックずれについて理解を深めてみましょう。

圧力のかかり方を理解する

まず楽器を持って音を出してみましょうか。

音を出した方に質問なんですが、弦を弾く際に、
ピックに対して弦からかけられる抵抗力
がありませんでしたか?グッグッってやつです。まずそれが圧力です。

じゃあまた質問するんですけど、弦を弾く際に
ピックのどこの部分に強く圧力がかかりやすいのか分かりますか?

答えは、
ダウンピッキングの際はピックの左側
アップピッキングの際はピックの右側

に強く圧力がかかりやすいです。

上から見るとこういう感じ

このように、ピックを上から見て中心部分で分けた際に、
ダウンの際はピックの左側の面に、
アップの際はピックの右側の面に圧力がかかりやすいんですね。

「なんでダウンとアップで圧力のかかり方が違うの?」と疑問に感じる方もいると思うので、詳しく説明します。

圧力のかかり方が左右異なる理由

なぜダウンピッキングの際はピックの左側、
アップピッキングの際はピックの右側に強く圧力がかけられるかというと、
マンドリンという楽器の弾き方、フォームに理由があります。

マンドリンを構える際、通常殆どの方がサウンドホールよりヘッドを上にして弾きますよね。

自然と左手側(ヘッド)を上に上げるフォームになりやすい

この場合、楽器自体が地面に対して平行ではなく斜めになっています。まずここに注目しましょう。

次に音を出す際、ピックで弦を弾くと思いますが、殆どの方はピックを地面に対して平行に持ちますよね。

若干平行じゃないけど

するとどうでしょうか?弦に対してピックが斜めに侵入しますよね。
めちゃくちゃ具体的に伝えると、
・楽器自体が地面に対して斜めになっているので、同様に弦も地面に対して斜めになる
・ピックは地面に対して平行に持たれる(ことが多い)ので、弦に対して斜めにピックが侵入することになる

ということです。

また、よく合奏指導やレッスンで「斜めにピックを傾けて弾きましょう」と言われることが多いので、
その影響もあって普段からピックが斜めに侵入して演奏している人も多いんじゃないでしょうか。
(ちなみになぜ斜めにピックを傾けて弾くか、という点についてはそのうち記事にします。楽器の鳴らし方・音色に関わっています。)

斜めに入ることになる

ピックが弦に対して斜めに侵入するとどうなるか、というと、
ダウンピッキングの際には先にピックの左側の面に弦が触れ、
アップピッキングの際には先にピックの右側の面に弦が触れる
んですよ。

ダウンはこうなる
アップはこんな感じ

そうすると当然、ダウン時、アップ時にはそれぞれ先に弦にあたったピックの面に対して強く圧力がかけられますよね。
ダウン時とアップ時で、主に使っているピックの場所が左右異なるため、当然ピックに対して与えられる弦からの圧力もダウン時とアップ時で異なるというわけです。

なのでダウンピッキングの際はピックの左側、
アップピッキングの際はピックの右側に強く圧力がかけられるんですね。

ピックの支え方

圧力のかかり方が理解できれば簡単です。

再度伝えると
ダウンピッキングの際はピックの左側、
アップピッキングの際はピックの右側に強く圧力がかけられるので、
支え方としては
親指をピックの左側寄りに、人差し指をピックの右側寄りにしてピックを支える
ようにしてみましょう。

まず、ダウンピッキングの際にピックに対する圧力を支える指は親指ですよね。
で、ダウンピッキングの際にはピックの左側に強く圧力がかかるんでしたよね。
なら少し親指を左側にずらしてみましょうか。

親指がすこしだけピックの左側にあることで、
ダウン時にピックにかかる左側の圧力を上手く支えることができますよね。

次に人差し指の位置です。
アップピッキングの際にピックに対する圧力を支える指は人差し指ですよね。
また、アップピッキングの際にはピックの左側に強く圧力がかかりますね。
なら人差し指を右側にずらしてみましょう。

ずらした持ち方はこんな感じです。

気持ち程度ずらすだけでいいです

少し分かりにくいかもしれませんが、
気持ち程度でも親指をピックの左側寄りに、人差し指をピックの右側寄りにしてピックを支える
ことでダウン時、アップ時にかかる圧力を上手く支えられます。

じゃあ試しに弾いてみましょう。

どうですか?ずれなくないですか?ずれなくなった方はおめでとうございます。

ピックの中心から親指、人差し指の位置を若干ずらしてピックを持つことで、ダウンとアップで左右差のあるピックへの圧力を均等に支えることができます。
ピックずれに関する理屈でいうと、親指、人差し指をピックの中心に添えてピックを持つ、
というのはあまり合理的ではないということが分かりますね。

次に、試しに親指と人差し指を全く逆の方向にしてピックを持ってみましょう。
親指をピックの右側に、人差し指をピックの左側において音を出してみてください。

そもそも持てない

どうでしょう。とんでもなく弾きづらいですね。そもそも持てなくないですか?

「ギリギリ音を出せた!」という方は、ダウンを連続して弾いてみてください。

この持ち方で連続ダウンをすると
だんだんとピックが右側にずれていきませんか?

変な持ち方で連続ダウンすると右側にずれる

これがピックずれなんですよね。
要するにこの場合、ダウン時にかかるピックの左側の圧力を上手く支えられていないため、
右側にその圧力が逃げて結果的にピックがどんどんずれていく、ということです。
これはアップも然りです。

普段のピックずれを極端にして伝えると、こういうことなんですよね。

普通に親指、人差し指でピックの中心部分を支えるだけだと
上記のようなずれが徐々に発生し、結果的にピックがずれて弾けなくなる、ということです。

これが
①ピックの支え方を理解していない
ことによるピックずれです。

しかし上記のように
親指をピックの左側寄りに、人差し指をピックの右側寄りにしてピックを支える
ことで、説明したようにピックずれに対処できます。

演奏中もこれを意識したうえで修正してやるとずれなくなりますよ。

ピックの持ち方は変えなくていい!

誤解されそうなので一応言っておきますが、
ピックの持ち方を大幅に変える必要は全くないです。

ピックの持ち方には大まかに
①人差し指の第一関節と親指で支えるフォーム
②人差し指の先端と親指で支えるフォーム
の二通りに分けられると思います。

画像を入れる

①の持ち方は青山涼さんがやってたような気がします。
割と多くのプロ奏者は②の持ち方なんじゃないですかね。

個人的には②の持ち方で演奏していますが、ぶっちゃけこのようにプロ奏者の間でも分かれるところだと思うので、別にどっちでもいいと思います。

それを踏まえた上で、この記事で説明した内容をご自身のピックの持ち方に落とし込んで見てください。

①の持ち方をしている方は、意識だけでも先に説明した理屈を基にピックを持ってみると、
多分明らかにずれなくなるorずれても修正できるようになると思います。

手汗で滑ってしまう

ピックの支え方を理解すれば殆どの方は大丈夫だと思いますが、手汗でピックがずれてしまうという方に向けて対処法を説明しますね。

ピックの材質に注目しよう

ピックはいろんな材質で作られているので、やはり材質によって滑りやすい、滑りにくいというものもあります。
正直個人によって感じ方も異なるので、とりあえず試してみるというのが一番手っ取り早いと思います。

汗でよく滑ってしまう人にオススメする材質としては、

・ナイロン
・エクセロイ(f-top)
・ウルテム
・べっこう
・ゴム(dava)

ですかね。

オススメのピック材質

それぞれ簡単にまとめてみたので参考にしてみてください。

・ナイロン

一番ベーシックなピック材質だと思います。つるつるすぎない+ある程度ピックがしなるので、ピックに対する圧力がそもそも起こりにくく、手汗が多くて滑ってしまう人でも微調整がしやすく扱いやすいのではないでしょうか。僕はK-LICKSさんのピックを使っています。

最近黒になったやつ

・エクセロイ

割とカサカサしているというか、指に引っかかりやすい素材だと思うので、しっかりホールドしたまま演奏しやすいですね。
個人的にはピックずれ対策というよりシンプルに音色が好みなので使っていました。
こちらも同じくK-LICKSさんのピックになります。

使い込んで汚い

ウルテム

べっ甲や人間の爪に近い素材として有名です。
指がある程度しっとりしている方がホールド力が上がる優れた素材だと思います。
逆に指が乾燥している人はめちゃくちゃ滑ると思うので、避けたほうがいいかもしれませんね。

ダンロップのやつ

ちなみにこれはギターピックなんですが、海外の奏者だと普通にギターピックを使って演奏している人も多いので、ギターピックの中から自分のお気に入りピックを探してみてもいかもしれないですよ。
Avi Avitalはダンロップのワニのやつ使ってますね。Facebookを漁ってたら見つかりました。

・べっ甲

これは人によってはめちゃくちゃ滑らなくていい、という人もいれば滑りすぎて困る、という曲者ピックですね。
僕は後者で「滑りすぎて使い物にならねえ!」と感じていたタイプですが、
先に説明したピックの支え方を理解してからまともに使えるようになりました。
音色的にやっぱりべっ甲がいいな~感じるので現在メインで使っています。

ラーメンを一杯我慢したらべっ甲ピックを一枚買えます

僕はべっ甲ピックの先端を極限まで丸くして使っています。
ピックの加工の仕方による音色の違いとかも記事にしたいと思います。

・ゴム(DAVA)

DAVAのギターピックです。これは持ち手がゴムになっているタイプなので、確実に滑らず演奏できます。
一時期使っていましたが、滑らなさすぎてピックの持ち方が変になってしまったので使うのをやめました。
「手汗が気になりすぎて演奏に集中できない!」という方にはマジでオススメできるのでいいと思います。
カッティング系の独奏曲とかには特にいいかもしれないですね。

虫みたいなデザイン、やめてほしい

オススメしないピック

手汗が原因でピックずれに悩んでいる方には、ジュラコンなどのめちゃくちゃつるつるしているピックや、極端に硬いピック(しなりにくいピック)はオススメできないですね。

ただ僕が個人的にそう思っているだけなので、最終的に好みの使いやすいやつを見つけ出すのが一番いいと思います。

まとめ

ピックずれに対する熱い想いを記事にしました。
最後に絶対ピックずれが起きない方法を伝えると、サムピックを使うということです。

またこの記事は僕の個人的な意見なので、ご了承ください。

是非参考になれば幸いです。

他にも記事があるので読んでみてください~

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管理人・ライター

坂口

2000年、北海道生まれ。

北海道大学入学後、北海道大学チルコロ・マンドリニスティコ「アウロラ」に入部したことをきっかけに、マンドリン、クラシック音楽を本格的に始めました。マンドリン、クラシックギターを吉住和倫に師事。

アウロラの第98代コンサートマスターとして、またマンドリンアンサンブル・リデアなどで活動後、現在は札幌市内のマンドリンオーケストラであるフィラルモニカ・マンドリーニ・アルバ・サッポロにて演奏しています。

マンドリンやギターのメディア運営を通じて、音楽の面白さを伝えていきます。

ライター

小森

2000年、静岡生まれ。

16歳でクラシックギターを始め、北海道大学入学後、北海道大学チルコロ・マンドリニスティコ「アウロラ」に入部。アウロラ98代ギタートップ。
クラシックギターを深澤太一氏、吉住和倫氏に師事。これまでに大萩康司氏、菅沼聖隆氏、小暮浩史氏のマスタークラスを受講。2020年北海道アマチュアギターコンペティション6位、2021年同大会5位。

マンドリンアンサンブル・リデアで活動後、フィラルモニカ・マンドリーニ・アルバ・サッポロにて演奏しています。